材木不足が深刻化し、新築戸建住宅の建設に影響
木造住宅の建設に必要な材木が不足し、価格が高騰していることを以前に書きました。
この状況は、現在では更に深刻になっています。しかも長期化しており、いつまで続くのか全く見当が付きません。不動産および建設業界では「ウッドショック」と呼ばれています。
木造住宅を建設する際に使用する木材の約7割は、アメリカおよびカナダから輸入に頼っていますが、現在、日本にはほとんど輸出されていないとのことです。
原因の一つは、コロナ禍が続くことによる日本国内における住宅建築需要の激減を予想したハウスビルダーが生産地に対する注文を大きく減らしたことにあります。
もう一つの原因は、海上輸送を行うためのコンテナ船が世界的に不足しており、材木を日本に輸送する手段を確保できないことにあります。
アメリカ国内ではリモートワークの推進に伴う住宅の建設需要が旺盛になり、木材が不足しています。このため、新たな注文を受け付けてもらえない状況です。現在、カナダおよびアメリカで生産される木材の大半はアメリカ国内で消費されています。
材木不足が長期化し、材木の輸入が停止しているに近いことから、日本国内の材木に対する需要が急増しています。しかし、国内の木材は数量が限られており、日本国内における全ての需要を賄える程の量はありません。それに国内の材木は以前より高価なので、海外産の材木の代替にはならない状況です。
現在、この状況は更に深刻化しています。特に注文住宅では工期や価格をお客様に提示できないことから新規の受付を中止するところが出てきたようです。
静岡新聞の記事から引用します。
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米国住宅需要拡大、コロナ禍で「ウッドショック」 世界的木材の争奪戦、静岡県内も調達難 住宅着工、工期遅れ懸念
静岡新聞
2021.5.25
住宅の柱や梁(はり)に使われる欧米産木材の日本国内での調達が困難となっている。米国の旺盛な住宅需要拡大と新型コロナウイルス禍の海上輸送コンテナ不足を要因に世界的な木の争奪戦「ウッドショック」が生じている状況で、県内でも建材不足に伴う住宅着工の遅れ、価格高騰へ懸念が広がっている。
~中略~
林野庁がまとめた木材貿易状況によると、ウッドショックの背景にあるのはコロナ禍の在宅需要と住宅ローン低金利を受けた米国内の住宅市場の活況。海上輸送コンテナ船不足も逆風となり、北米産木材は前年同月比2・5倍にまで高騰した。
日本の製材輸入量はことし3月まで9カ月連続で前年を下回り、木材需要の約7割を輸入に頼る日本での影響が深刻化している。
県内住宅業界にも影響が及んでいる。住宅建設のベスト・ハウジング(浜松市中区)の江畑和昭社長は「国産材も通常の1・5~2倍に値上がりしている上に入手困難。間取りを決めてから資材発注する注文住宅は契約しても工期や見込み価格がお客様に示せず、新規の注文が受けられない」と明かす。建売住宅も扱う同社は現在、建て売り用の土地取得を見合わせている状況で「住宅産業には大工や内装、電気工事事業者など多業種が関わり、影響は深刻だ」とする。
(経済部・石井祐子)
木材の価格上昇がここまで大きいと、住宅の着工件数は激減することが避けられません。国内産の材木を利用したくても。価格がこれほどまでに高額になると、どこのハウスビルダーも利用できないと思われます。
原材料の価格上昇分を販売価格に転嫁すると、販売価格が急上昇します。お客様の理解を得ることは難しく、工期も延長されるでしょうから、住宅の購入を先送りされるお客様が増えることに繋がります。
新築戸建住宅を建設して販売することを専業とする不動産会社および建設業者は正念場に立たされています。
コロナ禍は飲食業を蝕むだけではありません。不動産業界およびその関連業界にも深刻な悪影響を与えており、表面化するのは、それ程先ではないと思います。
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